骨折
一般的な骨折治療
骨折の固定方法
骨折の治療は、折れた骨折片同士を動かさないように器具で固定することでなされます。
固定器具や固定方法は数多くありますが、大きく3つに分類されます。
内固定
プレートやピンを用いて、皮膚の内側で固定する。術後、固定器具は外見上見えない。
外固定
ギプスやスプリントを用いて手術を行わずに皮膚の外側で固定する。
創外固定
手術で骨にピンを挿入し、皮膚の外側でピン同士を棒状の固定具を用いて固定する。
治療は骨折部位や折れ方によって適切な固定方法を選択する必要があります。
骨が治癒するまでには平均2~3ヶ月程度かかりますので、この期間は折れた骨が動かないように強固な固定を行います、
Tubular創外固定
Tubular創外固定システムは、人の手足の小さな骨の複雑骨折に対する固定法としてフランスで開発され、獣医学領域ではチューリヒ大学のDr.Montavonらが猫や小型犬の骨折に応用し紹介されました。
手術に際しては、骨折片にピンを刺入し、各ピンを穴の空いた中空スチールチューブにネジ止めすることで固定を行います。従来の創外固定具と比べるとより軽量で、小さな骨折片に多数のピンを設置することが可能なため、プレート固定と比較すると固定強度はやや劣りますが、骨に与える侵襲やストレスが少なく、より早期の治療が期待できます。
術後は骨折した患部の外側に金具を装着した状態で骨の治癒を待ちます。その間は、金具の緩みの確認や消毒、包帯交換のため週に一度は病院へ再診していただきます。
実際の症例【Tubular(チュブラー)創外固定】
猫(雑種、推定7歳、体重3 kg、避妊雌)
診断:左脛骨蝶形骨折、腓骨骨折
治療前

