骨折
成長板骨折(骨端板骨折)
成長板骨折(骨端板骨折)について
成長期の子犬・子猫(生後10か月ぐらいまで)では、骨も成長しています。
成長中の長管骨(細長い骨)の両端には「成長板」と呼ばれる領域があり、そこで骨の細胞が増殖し、骨は伸びることができます。しかし、その領域は周りの部分に比べ最も脆弱なため、子犬・子猫の骨折ではこの成長板での骨折が多くみられます。
この成長板骨折では、成犬・成猫の骨折の治療とは異なる為、次のことに注意して治療を進めます。
- 成長期の動物の骨は早く癒合するため、骨折部が変位している(ずれている)場合、なるべく早期に整復する。
- 骨の伸長(伸び)を妨げてしまうようなインプラント(金具)は用いない。そしてなるべく早期にインプラントは除去する。
- 骨を治そうとしている周囲の組織をなるべく壊さない。
- 骨折が関節面に達している場合、正しく整復して、変形性関節症(関節炎)の発症を防ぐ。
以上の点への注意を怠ると、骨が曲がってしまったり、短いまま成長が止まってしまうなどの合併症が起きるため、正しい治療が求められます。
実際の症例1
犬(雑種、4ヶ月齢、体重1.9kg、未去勢雄)
診断:右橈骨の成長板骨折(Salter-Harris Type 1)

実際の症例2
犬(トイプードル、2ヵ月齢、体重0.5kg、未去勢雄)
診断:右橈骨遠位骨端板骨折(Salter-Harris Type-2)

実際の症例3
犬(ジャック・ラッセル・テリア、3ヵ月齢、体重2.2kg、未去勢雄)
診断:左上腕骨外側顆骨折 [Salter-Harris Type-4]
