脱臼
股関節脱臼
股関節脱臼とは
股関節脱臼の原因は主に事故や落下などの外傷性に生じることが非常に多く、その他の原因としては股関節形成不全やホルモン異常などが挙げられます。股関節脱臼が生じると急に後肢を挙上しっぱなしになります。普段から脱臼し慣れている状況である子(特に股関節形成不全)では、挙上せず歩けてしまうこともあります。
正常の股関節
症状
外傷性の場合、事故的な状況の後から急に患肢を上げ、着地できなくなります。
診断法・治療
歩様検査と、触診にて骨盤と大腿骨の位置関係を確認します。位置の異常が認められた場合は股関節脱臼している可能性が高く、最終的にはレントゲン検査にて股関節の脱臼を確認します。股関節脱臼には背側に脱臼する場合と、腹側に脱臼する場合の2パターンがあります。
治療としては主に手術をせず脱臼を戻す方法(非観血的整復)と、手術による治療(観血的治療)に分かれます。
非観血的整復の場合、麻酔下で脱臼した大腿骨を元の位置に整復した後、患側の股関節をしばらく包帯で固定し安定させる必要があり、その状態で2週間ほど過ごします。この包帯治療期間に、股関節周囲の結合組織が繊維化を形成し股関節が外れにくい状況を作り出します。その後は包帯を外して経過観察とします。
この治療を施しても容易に再脱臼してしまう場合や、麻酔下でも整復ができない場合は、手術による治療が必要です。
病状によって手術による治療はいくつかありますが、主に根治を目指す治療であれば大腿骨の骨頭部分を切除する、大腿骨頭切除術を行います。他にも適応として大腿骨を温存するトグルピン法や、股関節全置換術が挙げられます(再脱臼リスクや、股関節に元々異常がある場合、適応外となるケースがあります)。
患肢の機能の回復は個体差が非常に大きく、術後数日で肢を使い始め、ほぼ正常な機能を取り戻すこともありますが、回復に数ヶ月を要する場合もあります。
早期の良好な機能回復のためにも、術後早期からのリハビリが望ましいでしょう。
股関節脱臼
大腿骨頭切除後